- 外為リアルタイムレビュー >
- 2010年8月21日バックナンバー
2010年8月21日バックナンバー
先週のドル円は薄氷の小康状態。来週の注目点は・・・
- 2010年8月21日(土)22:18
- この記事についてつぶやく
こんばんは。
先週のドル円相場は根強い米国景気下振れ懸念を背景に一時84円89銭と約15年ぶり安値に接近する場面もありましたが、本邦政府要人の相次ぐ口先介入や日銀による追加金融緩和に対する期待が下値を支える展開となりました。
1週間の動きを振り返っておくと・・・
【月曜日】
週明け東京の動き出しは86円20銭前後。週末NYでの上昇に対する戻り売り圧力が強く、日本株寄り前に85円90銭台に下落。日本株が一時150円超下落する場面ではリスク許容度圧縮の思惑が強まり85円70銭台に続落。その後、上海株の堅調を背景に小反発するが85円90銭台まで。欧州勢参入後、時間外の米2年国債利回りが低下基調に転じると下落圧力再燃して85円30銭台に。NY勢参入後、21:30に発表された8月NY連銀製造業指数、23:00に発表されたNAHB住宅市場指数はともに市場予想を下回る結果となり、米2年債利回りが一時0.492%台と過去最低を更新すると85円20銭まで続落、ポジション調整で小反発して東京勢の参入待ち。
【火曜日】
東京早朝は85円30銭台。序盤はドル買い戻し優勢で85円40銭台まで上昇するが、85円台半ばに控える本邦実需の売り注文に圧迫されて85円10銭台に小反落。その後は日本株睨みとなって85円20-30銭台でもみ合い推移。欧州勢参入後、時間外のNYダウ先物や米2年国債利回りの上昇を手掛かりに上値を試すも85円50銭台止まり。本邦実需の売り観測に再び圧迫されて85円20-30銭台に小反落。21:30に発表された米経済指標は強弱入り混じる結果となってドル円85円20銭-30銭台の動き継続。22:15に発表された米7月鉱工業生産の強い結果を受けてNY株が大幅に上昇すると円全面安となり、85円68銭まで上昇。利食いに押されて小反落、85円40-60銭台でもみ合い推移となって東京勢の参入待ち。
【水曜日】
東京早朝は85円50銭台。東京、ロンドン、ニューヨークとも手掛かり材料難の中、国内外の株価や金利の動きを睨みながら、85円20-60銭台の狭いレンジ取引に終始。
【木曜日】
東京早朝は85円40銭台。菅・白川会談を来週に控えた日銀の追加金融緩和期待を背景にジリ高基調で推移し、日本株が高値引けの直後に一時85円92銭まで上昇。欧州勢参入後は欧州株軟調を背景に戻り売り優勢となり、85円50銭前後まで反落。21:30発表の米失業保険新規請求件数、23:00発表の米8月フィリー指数は、ともに予想より悪い結果になり、ドル円は2段階で急落して一時84円89銭まで下落。ただし、85円割れ水準では本邦通貨当局による介入等への警戒感が蒸し返されたほか、84円台半ばに控えるオプション防衛線の噂からショートカバーが優勢になり、85円40銭前後に買い戻される。
【金曜日】
東京早朝は85円40銭前後。手掛かり材料難の中、野田財務相の円高牽制発言で正午過ぎに一時85円53銭まで上昇するが、後場寄り後の日本株の一段安を背景に85円20-40銭台に押し返される。欧州勢参入後も売買が交錯し、85円20-40銭台での往来続く。米国勢参入後、時間外のダウ先物の下落幅圧縮を手掛かりにクロス円が軒並み上昇するとドル円にも波及、来週開催が期待されている菅首相・白川日銀総裁会談前後の日銀追加金融緩和への期待も蒸し返されて、円相場はミニ全面安の様相を呈し、一時85円82銭まで上昇。週末を意識したポジション調整で反落、85円60銭前後で1週間の取引終了。
・・・という流れでした。
【円高一服も薄氷の小康状態で緊張感の強い状況続く】
先週は根強い米国景気減速懸念を背景に米2年国債利回りが何度も過去最低水準を更新する状態が続き、ドル円相場の下押し圧力となりましたが、前週記録した15年ぶり安値に接近する水準では本邦の為替介入に対する警戒感が明滅するほか、日銀による追加金融緩和観測も蒸し返されて、一段の下値追求には踏み込みにくいという感じのマーケットでした。結果的に、先週のドル円相場は85円台での滞空時間が最も長くなり、急速な円高にはいったんブレーキがかかる形になりました。ただし、前週に記録した15年ぶり安値である84円71銭までの『のりしろ』は、依然としてかなり薄く、『日銀の対応に対する淡い期待』が唯一の緩衝材になっている『薄氷の小康状態』という感じです。ここ数週間に比べると、ドル円の値動きはやや控え目でしたが、緊張感は非常に強い状態が続いています。
【来週の注目点その1:米国景気の健康診断】
そこで来週の注目点ですが、先週同様、(1)米国の景気回復力に対する市場の期待の変化、(2)日銀の追加金融緩和に対する思惑、になると思います。来週発表されるアメリカの経済指標は、中古住宅販売、リッチモンド連銀指数、耐久財受注、新築住宅販売、失業保険新規請求件数、などそれなりに注目されているものも多く含まれています。最近のドル円相場は米国経済指標が良い結果になった場合の反応は控えめで、悪い結果になった場合の反応が強めに出やすい傾向がありますが、個々の経済指標が発表された瞬間のリアクションは、良ければドル買い戻し、悪ければドル売り、という素直なパターンを相変わらず維持しているように見受けられます。ここ数カ月のドル円の下落は、基本的には米国景気の下振れ懸念を背景にした米国債利回りの低下の所産であるとみられるため、引き続き米国経済の健康診断結果がドル円相場の趨勢を左右する最も大切な要素であることは変わらないと思います。
【来週の注目点その2:日銀の政策対応にまつわる思惑の揺れ】
ただし、米FRBが米国景気下振れ懸念に配慮した金融政策運営に傾く中で、市場が発する円高デフレの深刻化懸念に対する配慮をあまり感じさせない日銀の金融政策運営が、円高加速の触媒になっている感は否めません。先週同様、来週も市場の関心は日銀に集まることが予想されます。菅・白川会談の設定日時については、先週金曜日に主要閣僚が相次いで『知らない』と発言し、本日には電話会談への切り替え、先送り案が報じられるなど、かなり微妙な不透明感が漂っていますが、『9月7日に予定されている定例金融政策決定会合の前に臨時金融政策決定会合が招集されて何らかの追加金融緩和措置が提示されるのではないか』という思惑は根強く燻っているほか、『どんなに遅くても9月7日の会合では何らかの追加金融緩和が発表されるだろう』という観測は次第に市場のコンセンサスのようになりつつあります。
【想定される日銀の政策と市場の反応】
『日銀の政策対応』について、最近の報道をみていると、(1)昨年12月に導入した新型オペを20兆円から30兆円規模へ拡充すると同時に、(2)資金供給の期間を3カ月から6カ月に延長する、などの案が浮上していると伝えられており、現時点ではこの辺がマーケットの期待値の平均のような感じです。最低限、これぐらいは出てこないと市場はガッカリするかもしれません。一方、政財界の一部に根強い金融緩和推進派が主張する、(1)国債買い切りの思い切った増額、(2)政策金利の0.1%からの一段の引き下げ、(3)デフレ脱却の意思を表明するより強固なコミットメント声明の発表、などは、いまのところあまり織り込まれていないようです。よって、もしもこれらが打ち出されたら、市場は好感する可能性が高いのではないでしょうか。
【発表日時、内容、市場反応、全て不透明な日銀の追加金融政策】
もっとも、市場関係者が期待あるいは懸念している日銀の追加金融緩和政策が一体いつ発表されるのかについて非常に不透明な状況が続いています。民主党代表選挙を前にした政局が与党内部で動き出していることもあって、政府発の日銀への圧力も一時的にせよかなり弱まってきているような感もあります。『日銀の政策対応』については、非常に注目されているものの、発表時期、政策内容、市場反応などについて、合理的に事前に織り込んで準備するのがかなり難しい材料になっています。先送りムードが漂ってきた感じはしますが、そうは言ってもドル円が再び安値を更新し、日経平均が9000円を割って急降下するような状況になれば、先送りムードも雲散霧消するのではないでしょうか。先週のドル円相場にみられた『薄氷の小康状態』が来週も続くのかどうか、米国経済指標にらみの神経戦が続くと考えられます。
【来週もよろしくお願いします】
お盆も過ぎて、最近は私が住んでいる多摩地区も、ようやく朝晩は少し涼しくなってきました。日の出は既に4時台ではなく5時台になってきましたし、早朝の家の周辺でセミの死骸を見ることも、秋の虫の声を聞くことも、かなり多くなってきました。晩夏のドル円相場は緊迫感の強い状況が続いていますが、猛暑のピークが(多分)過ぎつつあることで、体力的には、ホンの少しだけですが、ついて行くのが楽になってきた気がします。来週もよろしくお願いいたします。
菅首相と白川日銀総裁の会談先送りの方向、電話協議案浮上
- 2010年8月21日(土)11:20
- この記事についてつぶやく
金融に強い大手日系通信社の配信です。(20日10:52)
政府・日銀は20日、菅首相と白川日銀総裁の定期的な意見交換の一環として検討していた週明けの会談を、先送りする方向で調整に入った。代わりに電話協議を行う案が浮上しているという。
その通信社は、会談先送りの検討は、独立性を持つ日銀の金融政策に、政府が介入するような印象を避けるためとみられる、と伝えている。
==
ニュースの内容が日銀寄りであるため、ニュースソースは日銀かもしれません。
これをもって、「効果的な政策が出ない」と見るか、「それでも電話協議がある」とみるか、判断はどちらとも言えないところです。




