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2010年8月 7日バックナンバー
先週のドル円相場の回顧と来週相場の注目点は?
- 2010年8月 7日(土)20:26
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こんばんは。
先週のドル円相場は週足の最大落差が1円86銭に達する陰線となり、ザラ場では一時85円01銭と、85円割れ目前まで円高が進む場面が見られました。
1週間の動きを振り返っておくと・・・
【月曜日】
東京早朝は86円40銭台で始動。日本株寄り付き後の上昇や、菅首相のデフレ脱却発言を手掛かりに一時86円70銭台まで上伸するも、日本株の上げ幅圧縮により86円42銭まで押し返される。ロンパチ通過後、欧州金融機関の好決算を手掛かりに欧州株が強含むとリスク許容度緩和観測が強まって86円80銭台まで上昇するが、この水準では上値も重たく、実需の売りも意識されて反落すると86円50-60銭前後に押し返される。NY市場に入り、米ISM製造業指数の好結果に反応して一時86円80銭近くまで上ヒゲを伸ばすが、この水準では再度上値が重い。米国株は前週末比200ドル以上高い水準で推移するが、米2年債利回りの天井が0.57%手前で抑えられたことからドル円の上昇力は鈍く、86円台半ばに押し返される。
【火曜日】
東京早朝は86円40銭台。前夜のNYダウ大幅高を受けた日本株の高寄り期待から一時86円64銭まで上昇する場面もあったが、日本株の高寄り後は株価にらみの展開となり、86円20-50銭台で推移。早朝の欧州勢参入後、時間外の米2年債利回りが急降下して0.52%台半ばの史上最低水準に落ち込むと85円70銭台まで急落。米国で発表された一連の米消費・住宅関連指標が冴えない結果になると一時85円66銭と年初来安値を更新。安寄り後の米国株がプラス圏に持ち直す場面で85円90銭まで買い戻されるが、米国株がダレてくると小反落、85円70-80銭台での小康状態に。
【水曜日】
東京早朝は85円80銭前後。日本株の軟調や時間外の米2年国債利回りの過去最低水準更新を背景に、85円30銭台と年初来安値を更新。野田財務大臣の円高けん制発言も効力は限定的で、欧州時間帯は85円30-50銭台で小康状態。NY時間に入って発表された7月ADP全米雇用報告、7月ISM非製造業指数はともに市場予想を上回る良好な結果になるとドル・ショートの巻き戻しが加速。86円30銭台銭まで急騰後、86円10-20銭台に小反落。
【木曜日】
東京早朝は86円20銭台。日本株のロケット・スタートを好感して一時86円45銭まで上伸した後、基本的に日本株睨みの展開。日本株が上げ幅を圧縮する場面では86円01銭まで下落するが日本株が持ち直すと86円20銭台に反発。ロンパチ通過後、一時86円30銭台まで買い進まれるが、上値は重たい。スペイン国債の入札結果を受けて対ユーロでのドル売りが強まると、86円01銭まで反落。その後一旦86円20銭台に買い戻されるが、米失業保険新規請求件数が市場予想より弱い結果だったことが伝わると米2年債利回りが0.57%台から0.52%台まで下落、ドル円も86円台を割り込んで一時85円70銭台銭に。ポジション調整で買い戻されるも85円80銭台まで。
【金曜日】
東京早朝は85円80銭前後。日本株安寄り直後に一時85円74銭まで下落するが、日本株が下げ幅圧縮に転じると86円台を回復、米雇用統計発表前のポジション調整もあって一時86円19銭までジリジリとしたドル買い戻しが進む。欧州勢参入後、英独の6月鉱工業生産がともに市場予想を下回ったことで欧州通貨を中心にクロス円が下落、ドル円も連れ安して86円00銭界隈へ。20:00に発表されたカナダの7月雇用統計が予想外の雇用減となるとカナダ円が50銭近く急落してドル円も85円80銭界隈まで連れ安。米7月雇用統計発表前に86円00銭界隈まで買い戻されるが、21:30に発表された雇用統計で非農業部門雇用者数が▲13.1万人と市場予想の▲6.5万人を超える雇用元減を記録、注目されていた民間部門雇用者数も+7.1万人と事前予想の9.0万人に満たない増加にとどまったことが伝わると85円20銭前後まで急落、米国株価の軟調も重石になって一時85円01銭の年初来安値まで押し込まれる。その後、米国株に値頃感からの買いが入って前日比▲150ドル超の水準から同▲21ドル安まで急速に下げ幅を圧縮するとドル円も買い戻し優勢になり、85円40銭台で週末の取引を終える。
・・・という流れでした。
<週を通じて米国の景況感連動の分かり易いドル円の動き>
先週のドル円相場は1週間を通じて、米国の経済指標に素直に反応して動く展開となり、月曜日は良好なISM製造業指数に反応してドル高、火曜日は冴えない米消費・住宅関連指標に反応してドル安、水曜日は良好なADP雇用報告とISM非製造業指数に勇気づけられてドル高、木曜日は予想より弱い失業保険新規請求件数を受けてドル安、と日替わりの上下運動を強いられた後、金曜日の雇用統計が最後の決め手になって年初来安値更新という結果になりました。
<米雇用統計は地味な景気回復を示唆するも、債券市場は追加金融緩和期待を強める>
注目の雇用統計の内容を冷静にみると、事前の市場予想には届かなかったとは言え民間部門の地道な雇用増加が続いているほか、雇用全体の先行指標となる製造業の雇用は予想の+1.3万人を上回る+3.6万人を記録、時間当たり平均賃金も予想の前年比+1.6%を上回る+1.8%の伸びを示している上に、週平均労働時間も前月の34.1時間から34.2時間に伸びるなど、非常に緩やかな景気回復の動きが続いている様子がうかがえます。一部で喧伝されている『米国景気2番底懸念』という表現は、現状ではやや大袈裟な気もしなくはありません。ただし、FRBが超金融緩和状態の解除判断に際して非常に重視しているとみられる失業率の水準は依然として9.5%に高止まりしていることから、米低金利政策の長期化はもちろん、来週火曜日のFOMCで景気テコ入れのための追加金融緩和の思惑が刺激されてドル下落圧力が発生したと見られます。ちなみに、ドル円相場への影響力が強いことで知られている米2年国債利回りは昨晩一時0.50%にまで低下して過去最低水準を更新しています。
<来週は日米の中央銀行が発するメッセージに大注目>
こうした状況下、来週は日米両国の金融政策動向に注目が集まるとみられます。先陣を切るのは日銀の金融政策決定会合ですが、月曜日から開催されて火曜日のお昼頃には結果が発表されるとみられます。奇しくも同じ日の深夜27:15に米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表が予定されており、来週は週明けから日米の金融政策スタンスの話題一色になることで、ほぼ間違いありません。
<既往のドル安円高局面で際立つ日米金融当局からのメッセージの温度差>
梅雨入り前後から盛夏にかけて進行している円高ドル安の背景には諸説ありますが、やはり日米の金融政策姿勢の差や、市場に伝えるメッセージの違いが大きく影響していると考えられます。日米経済はともに金融危機後の景気最悪期を脱して非常に緩やかな回復過程にある点では同じですが、最近の両国の中央銀行から発せられるメッセージには、かなりの温度差が認められます。
<事実上の金融緩和効果を生んでいる米FRBの景気・物価判断慎重化のメッセージ>
米国の中央銀行は、景気が緩やかな回復基調にある中でも決して安心せず、先行きの景気見通しが異例に不確実だという認識を示しています。基調的な消費者物価上昇率がプラス0.9%にまで低下してきた段階で、いち早くデフレの予防と景気のテコ入れを意識して追加金融緩和の可能性を検討しているとのメッセージを市場に伝えています。来週のFOMCで実際に何らかの追加金融緩和が実施されるかどうかは分かりませんが、前回6月のFOMC以来、一貫してそうしたメッセージを市場に伝えることで市中金利の大幅な低下と株価の反発、ドルの下落が誘発されており、具体的な金融緩和は実施していないにもかかわらず、口先だけで事実上は劇的な金融緩和効果が示現しています。
<デフレが長期化している中で楽観的な見方を提示している日本銀行>
一方、日本の中央銀行は、ほぼ同じ時期に景気判断を『上方修正』しています。基調的な消費者物価上昇率はアメリカと同じ食品とエネルギーを除くベースでみると過去何年間もマイナスのデフレ状態で、足下の物価下落率も▲1.6%まで拡大しているにもかかわらず、比較的楽観的な予測を提示することで、能動的かつ積極的な追加金融緩和には比較的慎重な物言いに終始しているという印象が否めません。
国内外で企業活動のグローバル展開が活発化し、世界的に一物一価の長期的価格収斂圧力が働きつつあると考える人々が増えてきている現在の局面では、円高が進むと国内の賃金や物価に下落圧力がかかるとの期待を生みやすく、国内物価が下落し続けると内外価格差是正のために円高が進むとの期待を生み易いと考えられます。世界的にみて異例の物価下落現象が長期間にわたって日本でだけ定着している原因には諸説存在しますが、金融政策運営に対する人々の期待が一因ではないかと主張する向きが近年かなり増えているのは、周知のとおりです。
<日銀は実際には金融緩和を実施しているにも関わらず・・・>
昨年末以来の実際の日銀の金融政策の足跡を辿ってみると、昨年12月の臨時会合による『10兆円規模の新型オペの導入』、3月の会合での『その20兆円規模への拡大』に続き、6月会合で発表されて今月から始まりそうな『3兆円規模の成長基盤支援策』など、それなりに市場の金融緩和要請に応える施策は数か月ごとに捻出しており、第4弾の金融緩和策として『証券化商品担保オペの拡充』なども検討され初めているようですが、昨年晩秋のドバイ・ショック後の円高・株安局面の時のように、円高とデフレの悪循環懸念が相当程度に盛り上がってきた後を追う形で、『言われたからやった感』の強い印象が否めず、その後ちょっと景気が上向いてくるとすぐに中央銀行発の物言いが慎重化するために、実際には非常に粘り強く金融緩和を続けているにも関わらず、その効果が十分に市場に浸透していきにくい面があるのではないでしょうか。
<金融当局に要求される市場とのコミュニケーションの演出力>
世界金融危機勃発後、主要国は軒並み異例の金融緩和を実施しており、追加的な政策オプションが目減りする中、金融政策当局に求められているのは、たとえ演技でも構わないので、市場の発するメッセージに耳を傾ける姿勢を示し、自らの意図を正確に、あるいは時に誇張して市場に伝えるコミュニケーション能力なのかもしれません。具体的な金融政策の変化がすぐに伴わなくても、当局が発するメッセージだけで十分な金融緩和効果が表れるということは、6月FOMC以降の米FRB関係者の言動がはっきりと示しています。金融緩和策を打ち出す前に事実上の金融緩和効果を浸透させているFRBと、頑張って金融緩和を続けているのにイマイチ評価されない日本銀行との違いは、もしかしたら、その辺にあるのかもしれません。
<最近の動きはややオーバー・シュートの可能性もあるが・・・>
個人的には、最近市場で流行っている『米国景気二番底懸念』や『米国のデフレ突入懸念』はやや行き過ぎの感があり、米国債利回りの低下も円高ドル安も、ややオーバー・シュートのきらいがあるように思います。真相露出までにはもう少し時間がかかると思いますが、それらの懸念が杞憂だったことが判明すれば、その反動が生じる場面もくると思います。ただし、目先的には日米の金融政策イベントが偶然重なる来週火曜日前後が一つのヤマ場になっており、そこで発表される両国の金融政策に関するメッセージの内容次第で、期待のオーバー・シュート現象が一段と強まるリスクはもありそうです。政官財学及び市場関係者の決して少なくない面々が、円高とデフレの長期的な悪循環に対する懸念を強めていて、その突破口の一つを金融政策の変化に求めている状況下、週明けの日銀金融政策決定会合において既知の情報以外に何のメッセージも発せられない場合、さらなる円高進行の可能性も否定できません。
<一方通行の思い込みもやや危険・・・>
ただし、あまり一方向に偏った見解で来週の日米金融政策イベントの影響について推し量るのもやや危険です。現在、日本の金融政策の大転換はあまり期待されていない一方、米国では追加金融緩和に対する期待が強まっているため、もしも来週の会合で日銀がかなり思い切った新規の金融緩和策を打ち出して来たり、米国がこのタイミングでの追加金融緩和を見送ったりした場合には、円売り、ドル買い戻し方向への反動が生じる可能性もあります。また、仮に米国が何らかの追加金融緩和を打ち出したとしても、同時に公表される声明文で当面の金融緩和の一巡が示唆されるようなことになった場合は、これまでずっとそれをネタにしてドルを売ってきただけに、材料出尽くし感でドルが買い戻される可能性も否定はできません。これらの可能性はあまり高くはないかもしれませんが、何があるのか分からないのが市場の常なので、両方の可能性に対して、あまり予断を持つことなく用心して臨みたいところです。
<来週もよろしくお願いします>
まだまだ暑い日が続いていますね。さすがに最近は、私もやや夏バテ気味です。早朝の日の出時刻はやや遅くなって、朝は幾分楽になってきましたし、昼間の南中高度も一時よりは傾いてきた感じもしますが、これまでのダメージもあって、まだしばらくは『残暑』が続くと思うと、ちょっと気が重いです。相場にも数日ぐらい夏休みがあってくれるといいのですが、そういう訳にもいかないので気持ちを切らさずについて行きたいと思っています。来週もよろしくお願いします。




