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外為リアルタイムレビュー: 2010年6月 5日バックナンバー

2010年6月 5日バックナンバー

米国雇用統計から主役の座を奪った欧州の信用不安・・・

こんにちは。

いつも弊社のホームページに来て下さってありがとうございます。

先週のドル円相場は、月曜夕刻から金曜夕刻にかけてはジリ高推移となって月初来高値を記録しましたが、最終盤の金曜夜に急落するという非常に目まぐるしい展開となりました。

1週間の動きを振り返ってみると・・・

【月曜日】
東京朝の動き出しは1ドル=91円前後。先週末の米国株下落の余波に対する警戒感はあるが、月末最終営業日のドル買いの思惑や無難に寄り付いた日本株が前週末比小幅プラス圏に浮上するのを確認しつつ、日本時間15:00過ぎには一時91円61銭まで上昇。その後は利食いに押されて反落し、英米市場が休場の中で方向感の出にくい展開。日本時間零時前に薄商い狙いの仕掛け売りが出て一時90円95銭まで急落する場面もあったが、追随勢力には乏しく、91円10-20銭台に持ち直し。その後も91円00銭前後から91円30銭前後で方向感のない上下動を繰り返す。

【火曜日】
東京朝方は91円20銭台。日本株が誤発注の影響で急落する場面で一時90円88銭まで下落したが、豪州中銀の政策金利据え置き発表後に豪ドル円が買い戻されるとドル円も連動して91円20銭台を回復。欧州勢参入後、ユーロ圏株価が軒並み下落すると円全面高となり、日本時間夕刻には一時90円50銭台まで下押し。ショートカバーで反発後、米国株睨みの展開。米5月ISM製造業指数等の内容を好感して米国株が堅調に推移する場面では91円40銭台まで急伸するが、米国株が引け前に急落すると91円を割り込んで90円90銭界隈まで落ち込むなど、出入りの激しい展開。

【水曜日】
東京朝方は91円前後。9:30過ぎに伝えられた鳩山首相辞任報道を契機に政局不透明感を嫌気した円売りが加速。ドル円は約45分間で70銭超上昇して一時91円78銭まで上伸。上海株の下落を背景に日本株が軟調に推移する場面では91円20銭台まで押し返されたが、欧州勢力参入後、鳩山ショックが蒸し返されて91円70銭まで反発。その後一時欧州株睨みで小康状態になったが次期首相の有力候補に浮上した菅財務大臣は円安指向との思惑が広がると92円前後まで上昇。NY勢力参入後も同様の流れが続き、米4月中古住宅販売保留の結果を好感してNYダウが大幅に上昇する場面では一時92円36銭まで続伸。

【木曜日】
東京朝方は92円10-20銭台。一時92円04銭まで下落する場面もあったが、日本株がほぼ終日上昇基調で推移したことに加え、デフレ脱却を重視する菅内閣誕生の思惑から円安の流れが強まり92円40銭前後まで上伸。欧州株が序盤高値圏で推移する局面では円安傾向が一段と強まり、ドル円は一時92円80銭近くまで上昇。米国勢力参入後、米5月ISM非製造業指数の弱い内容を受けてNYダウが失速すると92円22銭まで反落するが、米国株が持ち直しに転じるとドル円も反騰。米カンザスシティー連銀総裁の『晩夏までに政策金利を1%まで引き上げるべき』との発言も材料視されて再び92円70銭台を回復。

【金曜日】
東京朝方は92円50-60銭台。NY市場の流れを引き継ぎ午前中に一時92円85銭まで上伸するも、米5月雇用統計発表を控えた様子見気分が強い中では上値も重く、アジア時間帯は92円60銭から80銭程度のレンジで一進一退。欧州勢参入後、時間外のNYダウ先物の上昇などを手掛かりに上伸して一時92円89銭と月初来高値を更新するが、米雇用統計の発表を前に欧州株が急落したことや仏首相のユーロ安歓迎発言を背景にユーロドルが年初来安値を更新するとユーロ全面安が加速。ユーロ円の下落がその他のクロス円にも伝播する形で円全面高となり、ドル円も92円30銭台まで下落。その後92円60銭台まで買い戻されて米雇用統計の発表を迎えるが、非農業部門雇用者数の増加が市場予想よりも少なかったことで欧州株が一段安になると国際商品市況も下落、リスク回避ムードが強まってストレートドル市場でのドル買いと、ほぼ全通貨に対する円買いが加速、ドル円は70銭以上急落して91円90銭界隈まで下落。その後買い戻されて一時92円台を回復する場面もあったが、NYダウが大幅に下落して前日比300ドル超の水準まで売り込まれるとリスク回避気運が再加速して円全面高となり、日本時間未明に一時91円40銭まで下落。その後週末のポジション調整で91円90銭界隈まで買い戻されて1週間の取引を終える。

・・・という流れでした。

【相場の雰囲気が3変化した激動の1週間】
ごく大雑把に1週間の流れを総括すると、先週は、(1)月曜日から火曜日にかけては株価にらみの不安定な方向感の模索状態、(2)水曜日から金曜夕刻までは本邦政局への思惑と株価回復ムードが絡みあった円全面安、(3)金曜夜は欧州金融不安の再発と期待外れの米国雇用統計に直撃された円全面高、という形で相場の味付けが3変化する激動の展開になりました。

【米国雇用統計から主役の座を奪ったユーロ圏の信用不安】
ドル円に関しては、水曜日から金曜夕刻までの上昇過程で積み上げた貯金が効いて、週末の終値は週初の始値よりも高い陽線引けの形を確保しましたが、最終盤に加速したユーロの崩落がストレートドル市場で怒涛の欧州通貨・資源国通貨売りを喚起した結果、クロス円は週末総崩れになってユーロ円と豪ドル円は週足が陰線引けに押し込まれ、カナダ円とキウイ円は寄り引けほぼ同値の「往って来い」、かろうじて週足陽線引けを確保できたのはポンド円とスイス円という結果になりました。昨晩はユーロポンドが一時0.8250台まで急落したほか、ユーロスイスが発足来安値の1.4000割れを記録するなど、欧州域内でのユーロ安も目立っており、リスク・オフ相場の震源地がやはりユーロであったことを示唆しています。

昨晩の欧州株安&ユーロ全面安については、米雇用統計が発表される3時間半前から始まって加速の兆候をみせていたため、やや期待外れの結果になった米国雇用統計だけが原因で引き起こされた動きではなさそうです。昨晩の一方的なユーロ崩落の過程では、南欧諸国とドイツの国債スプレッドの拡大に象徴されるユーロ域内の根強い信用不安、フランス首相によるユーロ安歓迎発言、ハンガリーのデフォルト懸念を認めてしまった同国首相の不用意な発言、仏金融大手ソシエテジェネラルの巨額損失の噂など、ユーロ相場を撃墜する材料が嫌になるほど重なり合いました。この結果、本日未明にユーロドルはついに1.2000台を割り込んで2006年3月以来となる1.1950台を記録しています。ここまで来ると次は2005年11月につけた安値1.1640も視野に入ってきそうなチャートの形状になっています。

通常、「米国雇用統計ナイト」の翌日のコメントは、基本的に雇用統計の内容とそれに対する相場の反応一色に染まるのが普通ですが、昨晩に関しては雇用統計発表前から高まっていたユーロ圏の信用不安に主役の座を奪われた形になりました。

【米国経済の緩やかな回復傾向は維持されているが・・・】
雇用統計の内容そのものは、確かに非農業部門の雇用増が前月比+43.1万人と市場予想の+53.6万人増に及ばず、民間部門の雇用増も+4.1万人と予想の+18.0万人に遠く及ばなかったため、「期待外れ」のレッテルを貼られた感はありますが、それでも最近の米国の雇用情勢は3カ月連続の雇用増加には転じてきている訳ですし、統計の単月の振れを考えると、「雇用なき景気回復」から決別し始めた初期段階の動きとしては、極端に内容が悪かったという感じではありません。同時に発表された失業率も今回は9.7%へ低下して0.2%ポイント改善しています。

米国経済単体の傾向だけに絞って評価するなら、これまでのところ、緩やかな景気回復状態は維持されていると思われます。一方、ユーロ圏の信用不安は、最近は単なる問題国の財政・債務問題のみにとどまらず、スペインの貯蓄銀行だとか、ハンガリーの債務懸念だとか、別方面への拡がりを見せています。ユーロ圏の信用不安の悪影響が、欧州景気の下押しや、欧州株の圧迫だけに収まってくれれば良いのですが、その是非はともかく、ユーロ圏発の金融不安がグローバルな株価の連鎖につながるという状態が収束しない限り、先行して景気回復の傾向を強めている新興国経済、資源国経済や、最近ようやくエンジンが暖まり始めた日米経済にもいずれ悪影響が及ぶ可能性が懸念されます。

【ローカルな政局よりもグローバルな景気・金融情勢と政策の動きに注目】
その意味では、来週以降の注目点も引き続きグローバルな株式市場の動向と、それに影響を及ぼす国内外の経済指標や政策の動きになりそうです。先週は鳩山首相辞任の一報が入ってから、本邦の市場関係者の目が一時的に「日本の政局」に奪われてしまった感もありましたが、為替市場の趨勢的な地合いを決するのは、ローカルな政局に関する話題ではなく、グローバルな景気・金融情勢についての大局観の流れであることを再認識させられた一夜だったと言えそうです。

【来週もよろしくお願いします】
それにしても、昨日が金曜日で良かったと思っているのは私だけでしょうか。今日が土曜日でなく平日だったら早朝からの日本市場で一体何が起きていたかと想像すると、ちょっと怖い感じがします。為替市場が再び動き出すまで、あと約35時間程度の猶予があります。つかの間の休息になりますが、お互い英気を養って、月曜日の朝にまたお会いしましょう。

今後もよろしくお願いいたします。

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