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日本の財政赤字は何で円安を誘発しないのか? - 外為リアルタイムレビュー

日本の財政赤字は何で円安を誘発しないのか?

最近、お客様からよく頂くご質問の一つに、「ギリシャや英国では財政赤字が問題視されてユーロ安やポンド安の材料にされているのに、日本は何でそうならないのか?」というのがあります。

確かに、日本の昨年の財政赤字はGDP比で二桁%台とギリシャや英国に負けないぐらいの水準ですし、政府債務残高のGDP比では日本のほうがマズいことになっているという話なんかもたまに耳にします。最近だと、「来年度は戦後初めて日本の国債発行が税収を上回る」という報道もあったりして、本邦の財政赤字に関する不穏な話に触れる機会は増えてる感じですね。

日本の財政悪化が円安に結びついていないのには、幾つかの理由があると考えられます。

第一に、日本は政府部門が大赤字でも民間部門で消費や投資が低迷して貯金が余っているので、日本国債の9割以上は日本人が持っていて外国人の保有比率は1割未満と少ない

第二に、巨額の財政赤字があっても、それが原因となって国内で通貨価値の下落懸念(つまりインフレ懸念)が起きていない

・・・などでしょうか。

例えば、最近問題になっているギリシャなんかは国債のユーロ圏内の外国も含めて約7割を外人が持っているようですし、ちょっと前のアルゼンチンなど、放漫財政が原因で通貨安になる国は、大抵の場合、国内で通貨価値の目減り、つまりインフレが起きています。先進国通貨の平時の為替変動は財政政策よりも金融政策への期待に左右され易いこともあり、現在は日本の財政赤字が原因の大規模な円安は起きていません。

ただし、日本でも戦前の高橋是清・大蔵大臣の時には、因果の先後関係には諸説ありますが、(1)財政赤字の膨張、(2)デフレからインフレへの転換、(3)大幅な円安がセットで起きたことがあったようです。現在の日本国債の国内保有比率が高いのは事実ですが、身内の債権者に甘えている分、外圧で財政再建圧力がかかりにくく、財政規律が緩んだ状態が長期化しやすいので、日本人が買わなくなったらヤバいという意見もあります。また、現在日本はデフレなので金利が低くて国債の借り換えコストが安くて済んでいますが、今のペースで赤字を積み上げて行ったら、どこかで悪い金利上昇とか債務発散の懸念がより心配になる局面が来ないとは言えないという意見も根強くあります。

もしも日本が今後も巨額の財政赤字を出し続けた場合、将来的には通貨安の遠因になる可能性も否定は出来ないと言えそうですが、そのリスクが高まる条件としてよく指摘されるのは、

(1)少子高齢化の影響などで日本の民間の貯蓄投資バランスが変化して日本が経常収支の黒字状態を維持できなくなりはじめる。

(2)日本の需給ギャップが縮小して、デフレではなくインフレに対する懸念が盛り上がる

・・・などです。

今のところ、どちらもすぐに起きそうな感じではなさそうですが、ずっと安心だと言い切ってしまうのも無責任な感じの話題だと言えそうですね。通貨価値に響くか響かないかにかかわらず、先ほど書きこんだようなギリシャの人達の苦境をみるにつけ、日本の財政再建も早めにちゃんとやる方がいいのは間違いありません。

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