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ギリシャ緊縮財政政策の評価について・・・ - 外為リアルタイムレビュー

ギリシャ緊縮財政政策の評価について・・・

既報の通り、昨日ギリシャ政府は48億ユーロの追加緊縮財政措置を閣議決定しました。昨晩のユーロ相場はこれを好感して、ユーロドルで一時1.3730台、ユーロ円で一時121円70銭台まで買い戻されました。

一応これで、ギリシャ政府はGDP比4%ポイントの財政赤字削減を今年中に達成する計画を提出しろというEUからの要求に答えた形になります。これと引き換えにギリシャが当座の資金繰り支援をEUかIMFから受けられれば、当面のギリシャ政府の資金繰りに対する懸念は一旦緩む可能性が出てきました。

ただ、問題はこれからです。3つの点を指摘しておきたいと思います。

第一に、今回の閣議決定は議会を通さないといけません。今回のパッケージには、付加価値税率の2%ポイントの引き上げ、公務員ボーナスの3割削減、年金の物価スライド凍結など、かなり不人気な内容が盛り沢山です。「失業率10%の国」に、こうした政策はかなりきついので、世論に負けて造反する議員とか、出てくる可能性はゼロでは無いので、まず議会審議の状況をチェックする必要があります。

第二に、無事に議会を通過して赤字削減が始まっても、最終的に今年GDP比4%分の財政赤字削減にはならない可能性はあります。GDP比4%と言えば、日本にたとえると、大体マイナス19兆円ぐらいの大規模な「逆経済対策」になります。これでギリシャ景気が悪くなって税収が当初見込みよりも落ちたら、当初予定通りの赤字削減が結果として達成できないかもしれません。

第三に、仮に予定通りにギリシャが今年GDP比4%分の赤字を削れたとしても、まだGDP比8.7%ぐらいの赤字は残ります。既存債務の借換え支援でその分の資金繰り不安からギリシャが解放されたとしても、今回これだけの騒ぎを起こしたギリシャの新規分の赤字国債のファイナンスに、気前の良い条件で応じてあげる人達がどれぐらいいるかは、見てみないと分かりません。

ギリシャも含めて、ユーロ圏の国々が安定成長協定で決めた「財政赤字をGDP比3%未満に抑える」という約束をもしも本当に守ろうとするならば、ギリシャは今回決めた強烈な逆経済対策を今年ちゃんとやった上で、来年も同じことをやらないといけないことになります。政治的にも経済的にも極端なストレスがかかる政策をギリシャの人達は本当にやり続けられるのでしょうか。

ちなみに、来年9月にギリシャでは総選挙が予定されてるようです。与党が負けて大衆迎合的な政策を標榜する勢力が議席を伸ばすとか、そういう可能性は無いのでしょうか?この辺まで考えると、はっきり言って、ギリシャ財政問題の根本解決の目処はまだ全然立っていないと思います。きちんとした評価をするためには、どうしても長期的かつ冷静な観察眼が必要になりそうです。

ただし為替相場の常ですが、新しい情報が入力されると、とりあえず目先の結論を求めて、売買の口実にしようとします。ここ数カ月のユーロ売りは、あまりにも一方的でしたし、買い戻さないと利益を確定出来ない人なども沢山参加して売り込んでいた感じはありましたので、今回のギリシャ政府の決定を契機にしばらくユーロが買い戻される可能性はあります。その時の相場の地合いにもよりますが、いずれどこかで国際機関からの当面の資金繰り支援策なんかが発表されたりしたら、場合によってはユーロドルで1.40とか、ないとは言えないかもしれません。

でも、ここで私が書き込んでいるようなことは、常識的にみんな考えてるでしょうから、その意味ではまだ完全に楽観的になって昨年秋までのようなユーロドルの上値追求モード全開という雰囲気にもなり切れないのではないでしょうか。「何かきっかけがあると売られるかもしれない」という警戒感はユーロドル市場の参加者の間に残るような気がしています。

前にも書き込みましたが、古今東西、財政赤字問題を政策対応だけで一朝一夕に雲散霧消させられた国の事例は多分ないと思います。財政再建のために緊縮財政は必要不可欠ですが、結局誰かが既得権益を放棄して痛い目に合わないといけない訳ですからね。最良の鎮痛剤は景気回復による税収増の恩恵を受けることで、やっぱりそれが来ないと、ギリシャの人達もあと何年も苦しい思いに耐えるのは難しいのではないでしょうか。国内で緊縮政策を余儀なくされている現在、世界景気回復による外需頼みは、日本だけではないのかもしれませんね。

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