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外為リアルタイムレビュー: 2010年3月20日バックナンバー

2010年3月20日バックナンバー

先週のドル円は寄引ほぼ同値、方向感模索の背景と今後

こんにちは。

<依然として方向感の出ないドル円相場>
先週のドル円相場は、始まり値が90円62銭、終値が90円55銭でほぼ寄り引け同値でした。週間安値は89円73銭、同高値は90円79銭となっており、上下ほぼ1円の範囲で方向感の出ない往来を繰り返しました。1週間の流れを振り返っておくと・・・

【月曜日】
90円60銭台で寄り付いたのち、東京序盤からNY序盤まで90円55-79銭でもみ合い。日本時間深夜零時過ぎ、ユーロ圏財務相会合でギリシャ支援の具体策が決まるかどうかの不透明感や人民元切り上げを求める米国議会強硬派の動きに反応して一時90円30銭台まで下落。

【火曜日】
90円50銭台まで持ち直して東京の取引開始後、短期筋の売り仕掛けで一89円95銭まで下落したが滞空時間一瞬で反発、特段の材料も無くその後は円売り優勢になってニューヨーク序盤には一時90円73銭まで上ヒゲを伸ばす。90円50銭台でFOMCの結果発表を受けるが、「現状維持」の内容だったことから90円69銭から16銭の値幅で乱高下するだけの反応に終わる。

【水曜日】
東京序盤は90円27銭から44銭の狭い値幅で日銀金融政策決定会合の結果待ち。「新型オペでの資金供給額を10兆円から20兆円に増額」という結果に接し、直後は「材料出尽くし感」から90円03銭まで下落したが、追加金融緩和を好感して株価が上昇するとショートカバーが優勢な展開になってロンドン序盤に一時90円70銭まで上昇。ただし、この水準では再び上値重たく反落、ニューヨーク市場では利食い売りや実需の売りが優勢になって一時90円10銭まで押し返される。

【木曜日】
日米の金融政策イベント消化後、一転して材料難の展開。ロンドン序盤にストップ狙いの売り仕掛けで一時89円73銭まで急落するが、追随する勢力は無く即座に反発。ニューヨーク時間帯に入り「米公定歩合の追加引き上げ観測」が台頭したことに反応して一時90円79銭まで上昇するが、この水準では再び上値が重たいことを再確認。

【金曜日】
東京時間帯は3連休前のやる気なしモード。90円33銭から58銭の狭い値幅で終日もみ合う展開。海外勢力参入後、インド中銀の予想外の利上げに触発された新興諸国の金融引き締め観測に加え、米国の公定歩合引き上げ観測が蒸し返されて米2年債利回りが急騰。ドル円相場も一時90円70銭まで上昇するが、新興国の利上げ観測やギリシャ具体的支援策の先送り等を嫌気したクロス円の急落に押されて息切れ。90円30銭台まで下落した後90円55銭まで買い戻されて週末引け。

・・・という展開でした。

先週のドル円相場は月曜日から金曜日まで、毎日どこかの市場で必ず1回は90円70銭台に載せるものの、5回とも跳ね返されてこの水準での上値の重たさが何度も確認されました。一方、火曜日の東京で一時89円95銭、木曜日のロンドンで一時89円73銭と、2回だけ90円割れを試す局面がありましたが、いずれも短期筋主導のストップ狙いという雰囲気で、追随する勢力が殆ど無いため、90円割れ水準での滞空時間はいずれも非常に短命でした。結果的に、90円界隈での下値の堅さも印象的で、結果的に週を通じて上値の重たさと下値の固さが共存する難しい相場展開でした。

<日米の金融政策に劇的な期待の変化が生じていないことが原因>
先週のドル円相場における白眉の材料は、米国のFOMC、日本の金融政策決定会合という金融政策の2大イベントでしたが、フタを開けてみればいずれも劇的な政策の変化を予感させるものではありませんでした。米FOMCの声明文は「現状維持」の内容であったため、焦点となっている金融緩和の出口までの距離感は伸びもしなければ縮みもせず、結果的にドル買い圧力もドル売り圧力も生じませんでした。

日銀の追加金融緩和についても、「新型オペ枠20兆円に拡大」ぐらいの内容ならば、事前の観測記事等である程度は予見されており、強烈なサプライズにはなりませんでした。期末前のこのタイミングで追加緩和を決めたことについては一定の評価は出来るものの、どちらかというと政治的圧力に押された「受け身の小出し金融緩和」という印象が強く、デフレ長期化からの脱却を狙った「攻めの金融緩和」という印象はありません。

現在、米国では具体的時期はともかく、「金融緩和の出口までの距離感」が議論されているのに対して、日本ではその内容はともかく、「追加金融緩和の是非」が議論されていることを考慮すると、これからどんどん円高ドル安が進むような雰囲気にはなりにくそうですが、かといって大規模な円安ドル高が進行するような環境でもなさそうです。近年のドル円相場は、基本的に日米の金融政策に対する期待の変化に非常に素直に反応する傾向が強く、その意味では先週のドル円相場は方向感の作り様が無かったのかもしれません。先週木曜日のFXフォアキャストでアップした動画コンテンツ「日米金融政策の現状とドル円相場」でもお話しましたが、ドル円相場に上下いずれかの方向感がはっきりと出てくるまでには、もう少しだけ米国経済の健康診断の結果をみる必要があるのかもしれません。

<来週の注目材料はいろいろあるものの・・・>
来週のドル円相場の注目点ですが、米国の経済指標でそれなりに注目されるものはあるので、出てきた結果に応じてそれなりの値動きはありそうですが、米国の金融政策スタンスに変更を迫るまでの影響を期待するのは難しそうなラインナップになっています。

金融政策がらみでは、先週の木曜日に俄かに降って湧いてきた「米公定歩合の追加引き上げ観測」の行方が注目されます。2月18日の公定歩合引き上げ時の声明文では、「3月18日」以降に米公定歩合での主たる貸出期間が従来の28日間から1日間に短縮されることが明記されていましたので、その影響を見極めたうえで、FF金利誘導目標の上限(現在0.25%)と公定歩合(現在0.75%)の差となっている0.5%ポイントを更に広げて金融危機前の1.0%ポイントに戻していくのかどうかの検討が今後なされる可能性はあります。必要だと思えば公定歩合の追加引き上げが決定されるかもしれませんが、場合によってはFF金利との標準格差を0.5%ポイントに固定すると同時に、現在FRB内部で検討されていると言われている米国の政策金利の体系の見直しなどが公表される可能性などもあるかもしれません。

いずれにしろ、先月公定歩合の引き上げを行った後、バーナンキFRB議長を始めとする要人達の丁寧な説明によって「公定歩合の変更とFF金利の変更は全く別次元の政策である」という認識は、かなり市場に浸透してきたように思います。来週、米国の公定歩合の水準や米国の政策金利体系の見直しについて何らかの公表があったとしても、それに由来する形でFF金利の引き上げ開始時期についての期待は大きく変化はしないと思います。よって、ドル円相場への影響はあったとしても一時的だと思われます。

したがって、来週のドル円相場においては、日米の金融政策に対する劇的な期待の変化に由来する骨太の方向感が生まれる可能性は小さそうです。(1)毎日発表される経済指標の内容を細かく消化しつつ、(2)ギリシャ問題の進展具合、中国の金融為替政策への思惑に左右されるクロス円の動きや、(3)国内外の株価及び商品市況の動き、などを横目に見ながらの値動きが続くと考えられます。

いつも弊社のホームページを見に来て下さってありがとうございます。来週は月曜日が祝日で火曜日からになります。よろしくお願いいたします。 

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