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2010年3月 6日バックナンバー
先週の白眉はやはり米雇用統計。狂乱の宴の後で・・・
2010年3月 6日(土)23:58 written by 外為総研 植野
こんばんは。
先週のドル円相場は、約3か月ぶりに88円台前半まで下落した後、週末にかけて急騰して一気に90円台を回復するというとても目まぐるしい展開になりました。ドル円相場を中心に見た1週間の動きを簡単に振り返っておくと・・・
【月曜日】
国内外の株価、要人発言、経済指標などに細かく反応しつつ、方向感作りに苦労する展開。89円00銭前後の下値の堅さと89円50銭手前の上値の重さを確認するためだけに1日を費やしたという印象。
【火曜日】
東京時間帯は、豪州中銀の政策金利引き上げによる豪ドル円の上昇などを横目に見つつ上値を試すも89円37銭まで。欧州時間帯に入り、「ギリシャ公務員労組のスト計画」などに反応してユーロが急落。ユーロ円120円割れに付き合ってドル円も89円台を割り込む。NY時間帯に入り、ミネアポリス連銀総裁の米国経済弱気発言に押されて米2年債利回りが下落。ドル円一時88円55銭まで下値を切り下げる。
【水曜日】
東京時間帯は、良好な豪州の10-12月期GDPに反応した豪ドル円の上昇や、ギリシャ政府の追加財政赤字削減策への期待に押されたユーロ円の上昇につれて何度か上値を試すが89円00銭手前の上値は重たい。海外市場に入り、真贋不明の需給トークや米国経済指標などを手掛かりに再び上値を試すが、やはり89円00銭手前の上値は重たい。NY時間帯に入り、ギリシャ政府の追加財政赤字削減計画発表を受けたユーロ買いドル売り圧力がドル円にも伝播する形で一時88円30銭まで下値を切り下げる。
【木曜日】
「中国政府が銀行融資の不正流用による株式購入を摘発」との報道で上海株急落。クロス円の急落につれて東京午後にドル円も一時88円12銭と約3か月ぶり安値水準まで下落し、ここで先週のドル安・円高のピークをつける。欧州時間帯はショートカバー優勢になり、その後良好な米失業保険新規請求件数、複数の地区連銀総裁によるタカ派発言、などを手掛かりに続騰して約20時間ぶりに89円台を回復。
【金曜日】
日銀が追加金融緩和を検討との報道を背景に東京市場でドル円、クロス円ともジリジリ上昇。89円40銭台で米国2月雇用統計の発表を迎えるが、結果が事前の市場予想程悪くなかったことを好感してドル円は約5分間で90円28銭まで急騰。その後寄り付いた米国株式市場の大幅上昇を好感し一時90円58銭まで上伸。引けにかけてはポジション調整で小反落するも、90円30銭界隈で1週間の取引を終える。
・・・という流れでした。
<米国雇用統計の値幅作りの力を再認識・・・>
やっぱり米国雇用統計の威力は凄まじく、先週金曜日のドル円の日足は今年最大の陽線を記録しました。冷静に数字をみると、非農業部門の雇用者数は前月比▲3.6万人と、前月の▲2.6万人並みの雇用減少の継続を伝えている訳ですし、失業率も9.7%と前月と同水準で、どちらかと言えば米国の雇用情勢改善の足踏みを示唆する内容であると思われますが、雇用統計の調査期間中に米国東部を襲った大雪の影響含みで事前予想の期待値が下がっていたことが幸いしたという感じですね。今回の米国雇用統計に対する事前予想は、これまであまり類例のないぐらいの頻度で直前に大きく下方修正され続けていましたので、発表された結果をみて、「大雪の影響があってもこの程度の雇用情勢を維持しているのなら、実際はもっと良くなっているのかもしれない」という期待が喚起されたのかもしれません。
<クロス円の週足も全て陽線、リスクオンの円全面安>
ともあれ、雇用統計発表後は株式と原油と金が買われて債券が売られるという典型的な「リスク・オン型」のマーケットになり、クロス円も含めて急激な円全面安の反応が喚起されました。金曜の夜に記録したクロス円の上ヒゲの先端をみると、ユーロ円123円34銭!、ポンド円137円05銭!、豪ドル円82円28銭!、カナダ円88円16銭!、キウイ円63円02銭!、ランド円12円17銭!という感じで、いずれも雇用統計の発表前には想像できなかったような水準に達しています。引けにかけては、さすがに利食いで小反落しましたが、先週の円相場の週足はクロス円も含めて全てが陽線引けという円全面安の形で1週間を終えました。雇用統計発表の24時間ほど前には、「日銀による追加金融緩和策の検討」という報道が流れていたこともあり、リスク・オン型の市場になると売られる日本円という特質が意識され易かったのかもしれません。
<来週以降のドル円相場は・・・>
週明け月曜日に発表が予定されている経済指標は、日本ではマネーサプライ、国際収支、景気ウォッチャー調査などで、海外ではスイスの雇用統計、ドイツの鉱工業生産、カナダの住宅着工などです。米国の雇用統計による狂乱の宴を経験した直後ということもあり、週明けの材料はやや小粒の感が否めません。特に東京の時間帯は材料の砂漠地帯になりそうなので、注目すべきは例によって「週末のNY市場の動きを受けた日本株の動き出し」というパターンになると思います。週末の円全面安の結果、為替はドル円、クロス円ともに持ち上がった水準からの動き出しになりますので、週明け東京でとりあえずは利食い優勢になるのか、リスク・オン型の上値試しの展開になるのかが注目されます。
個人的感想を言えば、今回の雇用統計で発表された失業率のレベルをみても、すぐに米国の金融緩和の出口までの想定時間軸がどんどん縮まっていく感じはしません。ただ一方で、世界的にみても異例のデフレが長期化している日本の金融政策に対する緩和状態の長期化観測も最近再認識されています。日米の金融政策由来の期待の変化に比較的忠実なドル円相場の性格を考えると、このままドル高ベクトルが支配的になる感じはしませんが、かといって、昨年晩秋のような円高の嵐がやって来るような感じでもない気がします。心配されていたほどは米国の雇用情勢が悪化していなかったことが確認されたことで、来週以降、当面のドル円相場の参加者は、やや落ち着いた気持ちで米国経済のモニタリングを再開し、良ければ上、悪ければ下、だけどどっち方向もあまり深追いはしない、という是々非々の構えで臨むことになりそうです。
<来週もよろしくお願いします>
今日は若い頃にお世話になった先輩への謝恩会で昼間から軽く飲んだりしたので、週末の書き込みが遅めになってしまいました。いつも弊社のホームページを見に来て下さってありがとうございます。あと36時間ぐらいは相場を見ずに済みますので、お互いゆっくり休んで、また月曜日の朝にお会いしましょう。来週もよろしくお願いします。




